【やがて君になる8巻感想】そこには本当の愛があった

やがて君になる8巻感想

やがて君になる(8) (電撃コミックスNEXT)

この作品のテーマは「愛」だと思う

愛をテーマにした作品はたくさんあると思うし人によって愛の形は異なると思います。またこの作品「やがて君になる」は女性同士の恋愛を描いたものでいわゆる百合作品。こういった百合作品のなかでは私はそれほど百合作品を嗜んでいないので見当違いなことを言ってると思いますが同性同士ということでそこに対する一つの壁という部分があると思います。

ですがこの作品のなかでその部分に焦点が当てられたのは全体のほんの1%くらいなのではないでしょうか?この作品において女性同士の恋愛が描かれていますがおそらくこの登場人物が仮に男女であったとしても侑が侑であるかぎり、そして燈子が燈子であるかぎりこの2人の関係はかわらなかったと思います。

私のなかではこの作品において性別はそれほど意識させられることがなくそこにある登場人物の想いを純粋に見ることができたのかなとも思います。

この漫画のなかでは「好きがわからない女の子」と「自分を好きにならないと言った女の子を好きになる女の子」が登場します。作品のタイトルはその後者である燈子が本来の自分を取り戻しやがて君になるという意味であると最後の8巻を見るまでは解釈していたのですが8巻を読み終えてその捉え方が少し変わったように思います。

この「やがて君になる」というタイトルはもちろん作中に出てくる劇の内容にも関わっているしそもそもその劇の内容についても燈子の内面をまるで表してるかのようなものであったので燈子について指していると感じると思うのですが8巻を読んで感じたのは侑に対しても当てはまる言葉なのかなとも感じました。

「やがて君になる」が凄い理由

恋愛をテーマにした作品でこれまで感動した作品というのはいくつもあったのですがこの「やがて君になる」という作品はこれまでの恋愛漫画の中ではかなり異質というかここまで最初から最後までテーマがブレず、また恋愛漫画にありがちな中だるみもなく最後まで本当に綺麗に終わった作品は正直なかったように思います。

仲谷鳰さんが描く絵と物語が本当にマッチしていてこんなにも完成度というか綺麗に収まった百合作品ってないのではないでしょうか?

またカテゴライズでは百合作品ということになるのは確かなんですが変にこの「やがて君になる」という漫画をなにか一つのカテゴリーに収めたくないという気持ちが私のなかであります。

特に8巻を読んだからこそ余計になにかすでに決められた枠組みに変に押し込めたくないという想いがあります。

「やがて君になる」が凄いのは本当にこの8巻の中で本当に一切の無駄がなく綺麗にテーマを一貫して描かれているということが個人的には凄いと思います。

またこの作品を読むと本当に人に勧めたくなるというかこの作品を語りたくなるそんな魅力がある作品であったと思います。

蛇足、槇くんのその後

この作品に登場する槙くんという男の子。

この男の子は「人の恋愛をまるで舞台のように見立てて楽しむ」本人はずっと観客でいたいというちょっと変わった男の子だったのですが正直この男の子が今後どうなったのかを知りたいんですよね。

主人公である侑は「好きという特別がわからない女の子」だったわけですが槇くんは「人の恋愛を見ていたい、傍観者でありつづける男の子」なわけで似ているようでかなり違うんですよね。

その彼が傍観者でなくなる出会いをして誰かと恋愛をするそんな未来を私は見てみたいなぁと個人的には思っています。

侑と燈子のその後

8巻で物語は終わりとなりましたがその後の2人はどのように生きていくのでしょうか?個人的には女性同士だということで親とかがどう思うのかとかあると思うのですが友達とか侑ならお姉ちゃんとか2人の関係を知ってて受け入れているので親の反対とかあってもそこまで問題はないように思います。

時代の変化なのか唯の私自身の意識の問題なのかわかりませんが自分の娘や息子が同性の彼氏、彼女を連れてきても本人が幸せなら私は全く反対する気は起きませんし本人がその人といて幸せだと思っているならその感情を否定することなんてできないと思うわけで。
とはいえ2人が甘々な日常を過ごしていくかと言えばそうではないだろうし喧嘩をする時だってあると思うしそれこそ普通のカップルが経験するような日常を送っていくのだろうなとは思います。

最後は本当に凄く希望を感じさせる終わり方だったので本当に良かったです。結構泣きそうになりました。時間ができたらまた1巻から読み返したいと思います。百合には興味ないけどこのやがて君になるにはハマったという方も本当に多いと思います。もしも百合作品に抵抗がある方もどうかそういう既成概念はなくして読んで頂きたいですね。こんな素晴らしい作品を生み出してくれた仲谷鳰さんには心から感謝したいと思います。

そういえばツイッターでも見かけましたけど1巻と8巻の帯が本当にエモいという言葉では表せないくらい感情がぶっ壊れそうになりましたね…。

幸せな気持ちになる作品でした。そして終わったという凄い喪失感…。

ひまり

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