こちらの短編集には読み切りが4作品収録されています。2作品はジャンプに読切で掲載され一つはジャンプNEXTで掲載された作品です。
鬼滅の刃よりも前に書かれた作品で今も絵柄は独特なのですがこちらはより独特な感じです。絵が下手と論ずる人も結構いたりするのですが個人的には下手というよりも癖のある絵柄なだけで私は好きです。
「過狩り狩り」鬼滅の刃のキャラも登場
こちらは「鬼滅の刃」のベースとなった作品で鬼滅の刃に出てくる鬼が出てきたり鬼滅の刃のキャラクターなどが出てきたりします。
少し設定なども似てるところがあるのですがこの作中の主人公と思われる人物がとてもかっこいい。
過去の試練などで右腕を失い左手しかない状態なのですがそれでも異常に強いところがかなり好きでした。
現実でも隻腕で剣道されていて強い方とかいたりするのでそういうハンデを背負ってなお強いとかすごくいいですよね。
今の絵柄とはだいぶ違いますが鬼滅ファンはぜひ見て欲しい作品です。
「文殊志郎兄弟」何この余韻…
この作品に限らずですが吾峠呼世晴さんの作品の最初にいきなり文字を読ませるような形、すごく好きですね。
割とこういう手法ってジョジョの奇妙な冒険とかでも見る感じで小説の序文みたいな「メロスは激怒した」みたいな感じの始まり方が好きです。
この「文殊志郎兄弟」はなんというか妖怪人間ベム的な感じなんでしょうか?作中には出てこないけど妹とか結構かわいい。
化け物一家でなおかつ殺し屋がある女性から依頼を受けるって話なんですが結末があまり物語的ではなくちょっとリアルとかいうか…。
他の作品にも言えることですが割と登場人物がみんなぶっ飛んでいるんですがその一方ですごくリアルな感じの感情も持っていたりするキャラクターとかもいていいですよね。
吾峠さんはわりと話の終わらせ方が独特というかあっさり終わる感じのが多いですよね。
ちなみに殺しの依頼人は孤児院の子なんですがその孤児院はこのあとの「肋骨さん」にも登場するんですけど吾峠さん的に思い入れのあるものなんでしょうか?
孤児院の院長さんもどちらの作品にも出てくるけどかなり癖が強くてモデルとなった女性とか本当にいるのかなとか思ってしまいました。
「肋骨さん」名作すぎる!邪氣付きを祓う浄化師
4作品の中でも一番好きなのはこの肋骨さんです。邪氣に取り憑かれた人を浄化する浄化師のアバラが主人公のお話。
肋骨じゃなくてアバラなのかい!と言いたくなると思いますが肋骨さんのタイトル回収がちゃんとあります。
4作品の中ではおそらく善な感じの主人公って感じです。(過狩り狩りの主人公は人物背景の描写がないからどういう人かわからない)
過去のある出来事がきっかけでとにかく人助けを誰に頼まれるでもなくする主人公でシリアスなシーンなのにちょっと間の抜けたやり取りみたいなのは鬼滅でも見たことあるような感じで同じ作者の作品だぁなんて感じてしまいます。
アバラと一緒にいる謎のカッパが可愛くていいですね。
読切なので短い作品なんですがこの短い中でバトルもありアバラの過去の話、そしてある意味アバラの呪縛のようなものがなくなるまでをちゃんと描いてて本当に面白い。
吾峠さんは本当にキャラクターの感情を描くのが上手いですよ。一般的なバトル作品でもキャラクターの独白みたいなのが多いのが特徴的な感じがします。
だからこそキャラクターにより感情移入がしやすいんでしょうね。
「蝿庭のジグザグ」積極的に人助けをしたくない解術屋
「肋骨さん」の主人公は積極的に人助けをしてましたがこっちは逆で一応人助けはするんですが本人はあまりそういう気持ちがないという少しひねくれた感じの男性が主人公の作品です。
人を呪い殺す呪殺屋とその呪いを解く解術屋の話なんですが呪殺屋が10万円くらいで人殺しを受けたりとかそういう安い金額とか逆にリアルな感じだなあとか思っちゃいました。
出てきた呪殺屋は「呪いの言霊」という言葉で相手を呪う力を使うのですがこの解説が450時間ほど訓練で習得できるとか書いてあってわりと誰でも覚えられそうな感じとかバトル中なのに微妙笑ってしまいます。
また主人公のじぐざぐが嘔吐打ちとかいう呪力と使うのですが絵面が完全にただの物理なのも笑ってしまいました。
呪いを依頼した依頼主を懲らしめる後日譚がやたらコミカルなのと殺しの依頼をした理由とかもなんか実際にありそうな感じで笑えるようで笑えない。
最後のじぐざぐの「人間ってそう簡単に悔い改めたりせんからね」ってのがやたら印象的でした。
4作品を読んで
正直どれも全部面白いです。個人的には「肋骨さん」が一番好きなのですが読切できれいにまとまっているのでこれ以上の広がりとかは難しいのかもしれないですけど「文殊志郎兄弟」と「蝿庭のジグザグ」はこれをベースに新作描いてほしいなと思うくらいには良い設定だと思いました。
鬼滅の刃も完結したばかりでまたすぐに新作を描くというのも大変でしょうけどぜひ落ち着いたら読切でもいいので吾峠の新作が読みたいですね。
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